「うちは一晩で金利が付くから」なんてセリフを言う闇金がいます。
こうした闇金融はカラス金などと呼ばれる悪質な業者です。
彼らの実態を見てみましょう。
カラス金はもともと事業者向け小口金融
カラス金とは、1日を期限として高利で金を貸し付ける貸金業者のことです。
利率は2〜3%の場合もあれば、10%(1割)の場合もあります。江戸時代の貸付業者が、小さな個人事業主向け(棒手振りや芸人など)に活動していたことがカラス金の前進だと言われています。
「1日1割」という金利は、今の一般的な金融期間に比べると異常な高さです。
ただ、当時は貸し倒れ率が高く、貸してもお金が戻ってこないことが多かったのです。
そのため、高い金利をとる必要もありました。
また、たとえ金利が高くても、数日程度の短期・小口金融だったことや、借りる目的が商売のためですぐに日銭が入る人が多かったことなどが、高い金利をとる理由でしょう。
ただ中には現代のように遊郭(当時の性的サービス店)や賭博のために借りていた人もいたようです。
ちなみに、「カラス金」という名前の由来は、「夕方にカラスが鳴けば利子がつくこと」から来ているようですが諸説あります。
現代でも1日1割などで貸す闇金として生き残っている
カラス金は江戸時代の終わりとともにほとんど姿を消しました。
同時に個人向けの小口融資も減っていきましたが、1929年に日本昼夜銀行ができたことにより再び隆盛したと言われています。
同銀行は1943年に安田銀行(現:みずほ銀行)と合併し消滅しましたが、50年代には同じく小口・短期融資である日掛金融が登場します。
日掛金融は、1日ごとに金利計算される中小零細企業向けの金融業者です。
このように、短期・小口融資は根強く残っていったのですが、実はカラス金も例外ではありません。
確かに、明治以降、利息制限法や出資法が交付されたことでその数は減ってはいきました。
ただ現代でも、主にギャンブルをする人に向けて高利で貸付をしようと企むカラス金が確かにいます。
現代のカラス金は、パチンコ、競輪、競馬、競艇などをする人をターゲットにしていることから、「パチンコ金融」、「ギャンブル金融」とも呼ばれます。
江戸時代のカラス金の実態と違うのは、当時よりも貸し倒れ率が高いことでしょう。
ギャンブル目的で借りる人が多いため、返済の確実性が極端に減ったことがその原因と考えられます。
カラス金の金利システムは?年利だとどれくらい?
現在、利息制限法で定められている年利は15〜20%です。
一方、カラス金の1日1割を目安に計算すると、年利は3650%とかなり異常な利率になります。
1万円借りた場合、1年後には3650万円になっている計算です。
さすがにそれほど借金が膨らむまで事態が解決されなかった事例はありませんが、借金の増え方を考えるだけで債務者の精神がいかに追い込まれていくかは想像に難くないはずです。
これほど高い年利ではありませんが、つい3、40年前は日本でも109%という金利がまかり通っていました。
それが1983年以降の出資法の改正から段階的に下げられていったことで、今の15〜20%となったのです。
カラス金はどんな取り立てをしてくる?
カラス金の取り立て方法は主に2つ。
1つは一般的な闇金と同じように、電話で脅したり嫌がらせをしたりする方法です。
酷い場合は、家族や職場にも電話をしてくるケースもあります(関連記事:闇金が職場に嫌がらせ電話や取り立て電話をかけてきたらどうすればいい?)。
もう1つは、直接取り立てに来る方法です。
カラス金は貸付を行う際、借りたい人の場所まで直接現金を持って来ることがあります。
自宅、ギャンブルの場、違法に広告が貼られている電柱、など場所はさまざまです。
そこで自宅を知られてしまったり、お金がなくなるのを待たれたりしてしまった場合、その場で返済を迫って来ます。
そして当日返済できなければ電話での取り立てが始まり、家族、職場、近隣住民への嫌がらせや脅しの被害につながることになります。
カラス金から借金をしないために!
説明したように、カラス金は短期・小口融資の貸金業者です。すぐに現金が手に入ることから安易な気持ちで借りてしまう人が多いですが、暴利(以上に高い年利)により少しの借金がすぐに数十倍になることをしっかり覚えておきましょう。
特にギャンブルにのめり込んでいる人は要注意です。パチンコ店や競艇場の周りにはカラス金のチラシや広告が貼られているので、絶対に誘惑に乗らないように意志を強く持つことが大切です。